『めぞん一刻』や『美味しんぼ』を手がけた小学館の伝説的漫画編集者・白井勝也氏に、元週刊少年ジャンプ編集長の鳥嶋和彦氏が訊く!

1: 朝一から閉店までφ ★ 2022/09/22(木) 15:01:16.44 ID:CAP_USER9

『めぞん一刻』や『美味しんぼ』を手がけた小学館の伝説的漫画編集者・白井勝也氏に、元週刊少年ジャンプ編集長の鳥嶋和彦氏が訊く!──ライバル同士だった二人がいまこそ語る”編集者の役割”

2022年9月20日 12:00 公開

 電ファミニコゲーマーではこれまで、『週刊少年ジャンプ』の編集者として『Dr.スランプ』『ドラゴンボール』などを担当し、現在は白泉社取締役相談役を務める鳥嶋和彦氏をお迎えして、漫画について、そして編集者の役割について考える記事をお届けしてきた。今回の対談もまた、そうした試みのひとつである。

 今回、鳥嶋氏とともにお話を伺うのは、株式会社ヒーローズ代表取締役社長で、小学館最高顧問(※取材時。現在は退任)の白井勝也氏だ。

 白井氏は『週刊少年サンデー』『ビッグコミック』で編集者として活躍した後、『ビッグコミックスピリッツ』の創刊編集長に就任。『めぞん一刻』『美味しんぼ』『YAWARA!』など、数々の人気作を送り出して、同誌を今も続く人気青年コミック誌へと押し上げた人物だ。

 ちなみに鳥嶋氏とは、1970年代後半から80年代にかけて、お互いの担当する漫画家を巡ってしのぎを削った、ライバル関係にあったという。今回の対談では過去にあった驚きのエピソードも、当事者ならではの生々しい語り口で明らかにされている。

 だが、この対談で主題となっているのは、そうした漫画業界の裏事情が主眼ではなく、「漫画家と編集者の関係」だ。大きな利益を生み出す大ヒット漫画を生み出すにあたって、編集者は何をすべきなのか。
 そしてクリエイターである漫画家に対して、編集者はどのように接するべきなのか。これまであまり語られてこなかった漫画編集者の役割が、この対談から見えてくるはずだ。

 さらには漫画だけでなく、学術書なども抱える大手出版社の内部事情や、集英社の『ジャンプ』と、小学館の『サンデー』『スピリッツ』とのコンテンツに対する考え方の違いなど、出版やメディアに関心のある人にとっても、非常に興味深い内容となっている。

聞き手/TAITAI
文/伊藤誠之介
編集/実存
撮影/佐々木秀二

漫画編集者は、昔は「黒子」に徹するべきと言われていた

鳥嶋氏:
 今日、白井さんに対談をお願いしたのは、最近ネットで散見される「編集者は必要か」という議論が始まりで。それに賛成も反対もあるんですが、議論を聞いていると決定的に足りないのは、「編集者は何をやっているのか」について、分かるようで分からないという人が多いということなんです。特に漫画の編集者は「作家がちゃんとしていれば要らないだろう」とかね。

 やっぱりいろんなことがあって編集者は必要なんだけど、情報がほとんど出ていない。特に漫画編集者の発言は、紙でもネットでもほとんどない。それはやっぱり、会社が「編集は黒子だ」という感じでやってきているのが、長く残っているのかな。

白井氏:
 まぁ、そうだろうね。

鳥嶋氏:
 だから一回そういう意味で、いろんな漫画の編集現場でやってきた人たちと話をして、それを発信してもらってね、知ってもらうのは良いことじゃないか。
 お医者さんの仕事じゃないけれど、そのことによって、良い編集者と悪い編集者を普通の人が見分けるようになって、区別がつくような時代が来るといいなと思って。

白井氏:
 今言われたように、以前は編集者といえば黒子でね。あとがきで「○○さんにお世話になった」と名前を出すことさえはばかられた。

鳥嶋氏:
 そうなんですか。

白井氏:
 それで最初の話に戻ると、編集者がいなくてという漫画家も何人かいるけど、あまり成功はしていないよね。「自分が直に読者と向き合う漫画家」というのは何人か出ましたけど、上手くはいってない。

 このあいだ、『進撃の巨人』の若い編集者が話題になっていたけれど、彼が新入社員の時にあの作品が持ち込まれたわけじゃない。絵は粗いんだけど、パッションみたいなものを画面から感じて、彼はデスクや副編に「なんとか連載を」と持っていって説得した。見つけたわけだね。あれはまさに編集者の力というか。

https://news.denfaminicogamer.jp/interview/220920a


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Source: ジャンプ速報

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